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りゅーていの小部屋

よろずなことをつらつらと。

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ええと製作日数12日間?
9000字です。原稿用紙に換算すると20枚くらい。

なにやってんの私……!

と思わなくもないけど、これも人生!


【DE】のBL話です。

一部抜粋して掲載します。全文はサイトに裏ページ作ってから、載せます。

同性愛表現がございますので、苦手な方は閲覧なさいませんように。



【君はその言葉を知らない】


「ここって」
 見覚えのある場所だった。
 短くはない時間、竜の背にしがみついていた。足元の揺るぎない地面が嬉しくて腰を下ろす。
 ファエリという名の花の敷き詰められた絨毯は柔らかく、優しい香りがした。
「僕が目を覚ましたところだよね」
 振り向きながら訊ね、セラはぎょっと身を強張らせた。
 目が合った。
 ただそれだけ。
 でも、違う。
 ユーグがいつもと違う気がした。
 夜空色の双眸。
 静謐と空虚を内包した暗い瞳。
 震えそうになるのを堪え、セラは彼を呼ぶ。
「ユーグ」
「……あぁ」
 答えくれたことに安堵を感じる。
 うまく言葉にできない。
 何だろう。
 何が違うんだろう。
 どうして。
 どうして。
 こんなに落ち着かないのだろう。
 耳触りのいい、低い声が囁く。
「ここにいた」
 ユーグがある一点を指差した。
 つられてそちらに目をやり、そうだったかもしれないと思う。
 セラはそこから視線を動かせずにいた。
 踵を返したユーグが、こちらを見ている。
 目を合わせるのが怖くて、俯いた。
「……うん」
「眠っていた」
 確か、そうだ。そうだった。
 本当にそうだったのだろうか。
 何か忘れている。そんな気がして。
「ユーグ、僕」
「セラ」
 どく、と心臓が波打つ。
 ユーグはセラを滅多に呼ばない。
 名を口に上らすことはあっても、誰かの前で呼びかけたりすることはない。
 いよいよ顔を上げられなくなって、セラは困惑した。
 顔が熱くて。
「セラ」
 大切そうに。
 とても愛しそうに呼ぶユーグの声。
 俯いたままのセラを案じたのか、ユーグが近づいてくる。
「僕、は」
 言葉にならない呟きを洩らしたセラの腕をユーグが掴む。
 存外強い力にセラはびくりと身を震わした。
 セラの震えに気づいたのか、彼の力はすぐ緩む。
「ここで、お前を見つけた」
 無感情に響く声。
 その中に僅かに含まれる穏やかな響き。
 セラはそろりと顔を上げる。
 鮮やかな闇の双眸がこちらを見つめていた。
 胸が詰まるような感情を湛える。
 鼻の奥がつんとして苦しくなる。
 泣いてしまいそうだった。
 だから、目を閉じた。 
 唇に何かが触れる。
 驚いて、セラは目を開けた。
 その拍子に涙が零れた。
 すぐ近くに深い暗い空の色彩を映す、綺麗な瞳がある。
 このひとが好きだ。
 そう思った。


【中略】


 地面を何気なく見下ろしたときに、気づいた。
「あれ?」
 ファエリの花畑の上にそれは敷かれていた。
 皺くちゃになった布。正確に言うと軍装用の上套である。
 よく見慣れた色のそれに、セラは唖然とする。
「ユーグ?」
 呆然としたセラの呼びかけにユーグが振り向く。その視線の意図を察したかどうか。
 彼は屈みこんで上套を掴み、無造作に羽織ろうとした。
「着るのかよ! 躊躇しろよッ!?」
 尤もな突っ込みと同時にセラはそれを阻止。ひったくろうと引っ張ってみるが、びくともしない。
 無表情のまま、ユーグはセラを見下ろす。
「何をしている」
「こっちの台詞だッ! 何してんの? 何着ようとしてるの!?」
「上套が無ければ、お前を隠せない」
 竜舎を抜け出してこちらに来るとき、ある程度の高度に達するまでセラはユーグの上套に隠れていた。
 ユーグの竜は耐久度が高く、長時間の高空飛行はものともしないが、高速飛行が不得手なのだ。
 夜間の通関は竜騎士であり諸侯でもあるユーグは自由が利くが、表向き竜飼い見習いの身分であるセラは許可など下りない。
 加えて、高空飛行はかなり体温と体力を奪う。竜と契約し、常人以上の身体機能と耐性を得た騎士ならともかく、セラの身動きを取れないほど消耗するだろう。
 セラが平気でいられたのは、ユーグが上套に結界を張ったからなのだが。
「わかってる! その点はありがと! でもね考えて? それ汚れてるよね? けして綺麗とはいえないよね!?」
「血反吐がついているわけではない。問題ないだろう」
 独白のようにユーグは告げる。さも当然だというように。
 気が挫けかけた。だが引き下がるわけにはいかない。
 セラは力の入らない下肢に鞭打って、抗議を続行する。
「いやいや予備のあるだろ!? ていうか、エインに持ってきてもらいなよ!」
 ユーグはセラの剣幕を不可思議そうに見ていたが、やがて告げる。
「──お前がそういうのなら」
「疑いたくないんだけどさ、本当にそう思ってる?」
「あぁ」
「じゃあ、信じる」
 嘆息交じりに言い、セラは上套から手を放す。これ以上念押しすると、魔術で焼失させかねない。
 ユーグは上套を折りたたみ、脇に抱える。踵を返し、背を向けたユーグはそれきり無言になる。
 不自然に開いた空隙を涼やかな夜風が通り抜ける。
 ファエリの柔らかな小波が優しい芳香を運んでくる。う、とセラは小さく呻く。
 別に。
 構われたいとか、抱きしめてほしいとか思ったりしないけど。
「ユーグ、あのさ」
 頭がかすかに動き、銀髪の一房が上衣に垂れる。
 セラは花を踏みしめ、ユーグのすぐ後ろに立つ。数秒、迷う。迷った末に指を伸ばす。
「あのさ」
「触るな」
 鋭い声に体が硬直する。
 呆然とするセラの前で、布地に引っかかった指先をも避けるようにユーグが半身退く。
 睨むような強い眼差しに射竦められ、セラは息を呑む。
 怒らせた? なんで?
 立ち尽くすセラの前で、ユーグが吐き捨てるように言った。
「いつまでも自制できると思うな」
 突きつけられた言葉の意味を反芻し。
「……ん? え?」
「初めてだから優しくしろと言っただろう」
「ぅぐ」
 顔を真っ赤にしてセラは押し黙る。悪気など皆無だろうが、このタイミング言うのは反則ではないか。
 しかし、ユーグは舌打ちでもしかねない剣幕で、告げる。
「今は、加減する気にはなれん。犯されたくないなら近寄るな」
 えええぇ。
 何とか叫びを飲みこむ。
 セラはまじまじとユーグを見るが、顔を逸らされた。
 うっわ。なんだかなー。
 嘆息する。
「ユーグさぁ」
 恥ずかしいな、これ。そう思いながらも言葉は口から滑り出ていた。
「そういう時は照れてくれないと、困るんだけど」
 でも、嬉しいよ。
 セラは小さく、本当に小さな声で付け足す。
 数瞬、置いて。
 ユーグはそうか、と小さな声で答えた。


<終>




ツンデレではなく、ツンドラとでもいいましょうか。
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